Pirineos(スペイン)の山旅〔仏:Pyreneos〕――萩原辰作 |
2006年の登山〔6月〕〔写真紀行〕 |
序 今から十数年前に、Pirineosの8地域の地図を入手することができ、いつの日にか訪れてみたいと思いつつも日々の生活に追われすっかり地図のことも忘れていた。 2002年10月に会社を早期退職し、2003年2月、かねてより約束していた女房殿とのスペイン旅行に行ったおり、グラナダ・アルハンブラ宮殿から雪に覆われたSierra Nevada を眺めていて、地図のことを思い出したのである。 帰国後、夏は北海道や東北の山旅、冬は沖縄の島々でのダイビング、春と秋は釣ざんまいの生活をしていたが、結婚25周年記念に、夏に1ヶ月の予定でスペインに行こうということになり、このチャンスにPirineosを登ることにした。 いざ準備と思いきや、手元にある地図が繋がっていないので「いったいどうやって目的の山々へ行けばよいのやら? 何を用意したらよいのやら?……」となってしまった。 まあ、Prineosで一番高い山でもAneto山の3340mなので、とにかく現地に行って資料を入手してから考えることにした。 装備などは日本の夏山登山と同じにし、食料を可能な限り詰め込んで旅立つこととした。現地ではレンタカーを借りて移動し、期間は前半2週間程度を準備と登山、後半はアンダルシアでのんびり過ごすことにした。 結果的に、Madridからの往復を含めて12日間で、Tuca de Ballibierna(3056m) 、Tuca de Culebres(3051m)とMontardo(2833m)を登り、次回の登山のためのPirineosの核心部分調査をすることができた(2005年)。 Pirineos登山の要点 1.Pirineosの核心部分 登山口の標高が概して低く、2,800m以上の山は日帰りで登れる山は限られる。国立公園エリアに属していることが多く、山中でのキャンプはできないので、ほとんどがRefuge(小屋)を利用して登ることになる。 山中の「登山口から小屋」「小屋から頂上」「小屋から小屋」は概ね3〜5時間であり、Gr(巡礼の道)はよく整備されているので問題ない(日本のように、標識がやたらと多くはない)。 日本の山であれば、当然、鎖や縄が張ってあるような場所でも何もない。 Gr(巡礼の道)から外れると、どこを歩くかは自己判断となる。 おおまかな登山ルートは地図に記載されているが、基本的にどこを歩くかは自己判断。特に、ガスられた時に読図ができなければ、どこに行ってしまうかわからない。 森林限界は2000m付近である。雷から避難できるような場所は、山小屋しかない。 麓のキャンプ場は、避暑地として長期滞在者も多く、よく整備されており施設も充実している。虫に悩まされることもほとんどなく極めて快適である。 (1)北西部エリア(世界遺産) Ordesa国立公園を中心としたエリアで、西仏国境に2,500〜3,000mの山々が連なる。 La Munia(3143m)、Monte Arruebo(2751m)、Monte Perdid(3355m)など。 2800m以上の山々は大変険しく、小屋から山頂までの行程も長いため、トレッキング感覚で登頂できる山はほとんどないと思われる。 (2)南東部エリア 西仏国境山脈より、スペイン内に核心部がある。 Pirineosの最高峰=Anet(3,404m)=を擁するMaladeta-Anet山群もこのエリアに属する。 分水嶺はスペイン側に入り込んでおり、川はフランスへと流れていく。 高所に無数の大湖沼が存在し、お花畑も素晴らしかった。 Pico de Anet(3,404m)、Maladeta(3,308m))、Tuca de Ballibierna(3051m)、Montardo(2,833m) Punta Alta(3,014m)、Pic de Comeloforno(3,032m)、Pico Perdiguero(3,222m 国境の山)、Pico Poset(3,375m)など。 最高峰のAneto、Maladetaの南面ルートはロッククライミングが必要となるので、一般には北面ルートとなる。 万年雪のトラバースがありピッケル、アイゼンが必要になる(ロングディスタンス)。 レンタカー利用の場合 Madridから700kmほどの走行を要する。 途中キャンプ場等で1泊、翌日Benasqe(登山基地となっている街)で準備。 「Barrabes」という大きな山道具屋があり、何でもそろう。 2.個人装備について (1)ザック:30L以下のザック1つで十分 (2)寝袋(キャンプ場幕営):サマー用+シュラフカバー (3)着衣:日本の夏のアルプス小屋泊まりに準ずる (4)山小屋は毛布付なので、基本的にはシュラフ不要 また、分厚い石造りなので、小屋内は真っ暗となりヘッドランプ・電池は忘れないように。 (5)Barrabesでガスボンベも手に入る。コンロは各自持参したほうが良い (6)岩場歩きが多く、軍手や皮手袋はあったほうが良い キャンプ場に、洗濯機・シャワー・売店などが完備しているし、極めて乾燥しているので、洗濯物は日中が好天であれば2時間ほどで 乾く。下着・上着・靴下などは最小限で十分である(北海道よりはるかに快適)。 3. 食料について (1)パン・ハム(種類が多い)・チーズ・魚の缶詰・根菜類・果物・お菓子・ジュース・牛乳・ワインなどは手に入る 葉物野菜はあまり無い。 野菜不足を補うには、ガスパチョ(夏に冷やして飲む野菜スープ)を利用すると便利。 このエリアのスーパー(スーパーメルカド)は、街が小さいので何でも入手できるとは限らない。 (2)午後2時から4時か5時ごろまで、シエスタでお店が閉まる。そのため。下山後の食料調達に苦労することもある また、日曜日もスーパーは休みなので、その場合はキャンプ場の売店を利用することになる。 (3)保存のきくものは、可能な限り日本から持参したほうが良い 鰹節・硬いチリメン・味噌汁・米・棒ラーメンや棒ソバ(かさばらないので空き缶などに詰めて折れないようにすれば、かなりの量を持っ ていける)・調味料(香辛料、醤油、ダシのもと)など。 以前と違って、外食するとかなり高くつく(軽井沢で外食するのと同じイメージ)。 (4)水は購入(小屋でも手に入る)する。ペットボトルは非常に薄いので、水筒代わりに日本の空ペットボトルを持参すること便利(水道水は 飲んでも大丈夫。山水は放牧地より上部であれば利用可能)。 4.入手地図について (1)北東核心部 Anso-Echo (1:40000), Candanchu=Canfranc(1:25000), Panticosa-Formigal(1:25000), Vignemale(1:25000) Serra de Tenden~era-Vall de Tena(1:25000), Ordesa y Monte Perdido(1:40000) Bachimala-Bal de Chistau(1:25000) (2)南東核心部 Possets-Perdiguero(1:25000), Parque Natural-Posets-Maladeta-Vaii de Banasque(1:40000) Maladeta-Aneto(1:25000), Vall d'Aran(1:40000), Parc Nacional d'Aiguestoretes i Estany de (1:25000, 2枚組) (3)その他 Pica d'Estats-Monto-roig(1:25000), Andorra(1:40000), Parque Natinal Europa(1:4000, 2枚組) |
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