ブナ 丹後内山山系高山
あがりこというブナがある。鳥海山のあがりこ大王と呼ばれるブナがよく知られている。ごつごつとしたコブが出来、根元付近から何本にも枝分かれした巨躯は、まさにモンスターである。これはブナ帯と人の生活範囲が重なり、薪炭として利用された結果であり、東北日本の雪深い地域に多く見られる。丹後半島の高山では、山深くに内山という集落があって、人々に利用されてきたブナが残っている。ここには京都府下最大と言われているブナがあるが、それよりもやはり、このあがりこのブナに惹かれた。白っぽいあの優美な模様を描く美しい木肌はなく、生き抜いてきた証であるごつごつとしたコブが、勲章のように見えた。 |