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左=イワタバコ 右=横谷川を遡行すると吊橋や梯子が次々と現われる |
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カツラの巨木(「三本カツラ」) |
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左=ブナ林の尾根に取り付く 右=ナツエビネ(花はこれから) |
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野坂岳山頂で |
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敦賀市民に親しまれる野坂岳へ、ちょっと変わったルートから登る企画だ。
脊梁の西側にあたる美浜側から耳川支流の横谷川を遡り、山頂から一般コースを粟野へ下山するという内容で、渓流とブナ林を堪能できるのではないかと期待していた。アプローチの都合から、行動開始が午前11時近くと遅かったが、明るいうちに下山できればよいというので、問題はなさそうだった。
新庄の馬場から少し入った所で、道を間違え車を捨てる。林道終点まで1キロ余を歩くことになったが、傍らを流れる水流に慰められながら進む。地図に堰止湖が記された地点より谷沿いの小道となる。すぐに土砂崩れの堆積を越えなければならない。
この道は、高圧送電線の巡視路で、横谷川中流の廊下や急傾斜地に設置されている。吊橋やハシゴ、あるいは岩壁に直接打ち込まれたスタンスとボルト、さらにクサリなど、作業をするために必要な設備が連続する。これらがなければ、沢登りの対象としてもおもしろいだろう。階段状の流れや滝で合流する支流もあり、上流を探ってみたい気にさせられる。
「渓流倶楽部」が耳川流域の探査をされているので、いずれ全貌が明らかになるだろう。粟柄谷流域を中心に、これまで何本かの谷を登っているが、思いもかけない内容や密度の支流に出合ったりして、野坂山地の谷はなかなか侮れない。
上流は平流になって、炭焼竃の跡や石垣が何箇所も出てくる。なかなか雰囲気のよい所で、大きなカツラの木がある支流の分岐点で昼食を取る(「三本カツラ」)。
送電線が近づいたので偵察で尾根に取り付く。支尾根にはケモノ道しかなく、あとの人は送電線の下まで谷沿いに行ってもらう。鉄塔で合流し、草いきれに目眩を感じながら上部をめざす。
やがてブナ林に入り、日射しが遮られたためホッと一息つく。標高670m付近で道はトラバースを始め、送電線は主稜を越えて北東に続く。ここから797m標高点までダイレクトに登り、野坂岳に向かう。山頂近くの草地に出るまで、この間はすべて広葉樹林で気分よく登ることができた。
ピークには遅く着いたが、360度の大展望を時間をかけて満喫した。下山の途中に水場があって、冷たい「敦賀の名水」に生き返る。暑い1日だったので、何よりのもてなしだ。いこいの森を通り抜け、小浜線の粟野駅まで最後の力を振り絞って歩いた。(竹内 記)
・日 程=8月10日
・参加者=8名
・リーダー=田代妙子/アシスタントリーダー=竹内康之
・コースタイム=馬場(横谷川林道=10:50)〜林道終点(11:10〜11:15)〜「三本カツラ」(12:50〜13:15)〜
797m(15:00)〜野坂岳(15:40〜16:05)〜野坂いこいの森(敦賀市立少年自然の家=17:30)〜粟野(18:05) |
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