初(はっ)ちゃんの世界紀行――吉田初枝
 space
スマニア島の旅   〔2009.1.12〜1.28〕
 北海道の80%位の面積、オーストラリア大陸の南、この島には今でも太古からの大自然が残る宝庫であり、冷温帯雨林には南極の特殊な植生を持つ不思議な島、動物も自然遺産にも巡り会いたいと夢は限りなく広がり訪れた。
 この島は交通の便が悪いらしい、ツアーに入る気もない。レンタカーでドライブして下さる相棒さんと、大阪の2人計4人が直ぐ決定し、メルボルンに入国し旅は始まる。
 雪がチラチラの寒さから、南半球の季節がまったく相反する真夏の国に、自分の身体が慣れてくれるのか、不安もあった。オーストラリアの入国時、持ち物のチェックがとても厳しく、水気を含んだり、食料品、乳製品等、全てを申請必要で、しなければ罰金とか。入国と同時にそんなことに会いたくない。私は従順に食料品全てを申請したので、何の咎めもなく楽でした。
1日目だけを予約していたホテルは、便利なメルボルンの中心に在る。でもとにかく暑く、観光どころの気持ちにならない。近くのセントポール大聖堂、大きな時計塔のあるフリンダース・ストリート駅、スワンストン通りを往復する位で終わる。夕刻に私方の前に以前住んでいて親しくしていたご夫婦の娘さんが、メルボルンで結婚していると聞いたので、会いたいとの願いは適う。小学生だった可愛い子供は10ヶ月の坊ヤを抱き、オーストラリアの御主人と一緒の姿には、久し振りの感激と同時に自分がそれだけ年をとったことを思う。近くの中華街で夕食を一緒した懐かしい一時を持ちました。
oceania09_1
 次の日のメルボルンは、朝はとても爽やか、海が近いからか、風が涼しい。タスマニア島はシーズン中なのでしょうか観光客は多く、安さが売りもののジェット・エアーは満席であった。お茶一杯もなし全てが有料、採算をとるにはこういうことなのでしょう。ロンセストン空港は小さいが観光客が多いので、荷物は各自でカートまで捜してとりに行く。相棒さんがレンタカーを日本から予約していたのでスムーズにことは運び、すぐの出発となる。保険にも入り車体の傷もチェックしてカメラに撮り、証拠として残す念のいれよう。相棒さんはしっかりしている信頼できる人物です。この町は10日後のメルボルンの帰りに観光しようという計画で、今日はデロラインのユースに向う。レンタカーの会社で大きな地図を戴いたので、そのルートに従って走るが町内まで細かい処までは分からない。通りがかりの人に聞く人も中々いないので、店に入って聞く以外にない。おばあさんが私の車の後ろをついて来なさいと教えてくれる。
 ヨーロッパでもアジア圏以外はどの町でも看板が本当に小さく、旅行者には分かり難い。何の店なのか番地でもわからない時が多く、このタスマニアでも多分そうだろう。町の景観をそれだけ大切にしているのでしょうが。ユースは普通の家とは変わりない位の造り、小さな看板はある。やはり若い人が多いらしい。私たちは少し遠慮勝ちに近くのスーパーで材料を仕入れて、食事を作り、二段ベットの軋む音が気になる以外はよい宿でした。
 朝早く起きる私は他の人の迷惑になるので、外を散歩するのが日課になっている。ユースの周りは程よい丘陵地帯、伸び伸びとして気持ちがゆったり、隣の牧草地にお腹の大きなヤギが1匹だけ繋がれている。余ったパンをスズメにあげようと持っていたのを差し出すと、ポリポリ食べる。ヤギは草食かなと思っていたけど、雑食なのね。タスマニア島は一年中寒くも暑くもなく良い気候と云われているのは本当だな。メルボルンとはえらい違いだ(上の写真=メルボルン市内)。
oceania09_3
 デロラインからルート1でデボンポートに向う。走り易い広いハイウェイ、日本のように料金所はない、すべてフリー。車には流れというものがあって、皆走っている速度を同じようにしなければ、流れを邪魔することにもなり、皆が速度100km以上なので自分達の車も同じようなの、でも少しも速いとは感じない快適なドライブ。バス海峡に注ぐマージー川はメルボルンからのフェリーターミナルの発着所がある(私たちもフェリーを考えたが価格が高く、時間がかかり過ぎる)。デボンポートは小さな港町だが、なだらかな丘陵地に庭いっぱいの花がどの住宅にも咲いている、ここの人々は花好きな人々が多い。時折For Saleの看板があり売りに出ている。不景気なのでしょうかこの国も、ローンが払えないのだろうかと思いを巡らす。海峡沿いの町バーニー・ウインヤードと次々訪れる。ウインヤードでタスマニアンボリジニーというかっての原住民が住んでいた洞窟を見に行くが歩道が付いていて上からではのぞくだけでもバス海峡の海の色、ブルーの濃淡と白い浜とのあでやかさ。観光客はなく波打ち際のコンブの揺れが大きく波打ち、断崖より引き込まれそうになる自然の景観、こんな遠くまでよく来たなあという思い。スタンレーに向かいザ・ナッツという台形の岩山がこの小さな港町に聳える(エヤーズロックの小型版でしょうか)頂上までリフトで登る。その頂上を一周する、すごい強風が吹きつけ巨木ありで、この町の歴史を物語っている昔町、ここは魚のおいしい町だろうが昼食にレストランに寄る。相棒さん達は生カキを、私はどうしても生のものには手を出せない。旅の間は火を通したものしかという考えがある(上の写真=ザ-ナッツからバス海峡)。

oceania09_4oceania09_5
 私たちはクレイドル山に向かう。ウイラードまでバックして南へ。両サイドには麦やじゃがいも畑も広がり、大きく壮大な牧場放牧地には羊・乳牛・肉牛・馬等が放たれている。鉄条網が三段程張られているが低い位置なので、向こうから助走すれば簡単に越えられそう、ニュージーランドの放牧地とよく似ている。ハイウェイに並行に鉄道線路が通っているが、列車が走っているのを見たことが無い。少しずつ山岳地に近づく、大台ケ原によく似た枯れ木が残っていたり、樹木の残骸が山積みになったのも沢山ある。パルプになった跡なのかな、早く植林をと願う。私たちは不思議な景色を目にする、ネギ帽頭のような花畑がずっと向こうまで続く、よく見るとケシの花が終りその種がネギ帽頭になっている。ケシの花がこれ程沢山栽培されていることは、きっと何かの薬品か食材になるのでしょう。阿片ではないのは確かだけど、ヤンマーの奥地で本物の阿片畑を見たことがあるのでびっくりした。セントクレア湖国立公園にたどり着き、ユースに宿を求めたが満杯で断られ泊まりを求めるが、この近くは中々ない。でも山道の小さな看板だけを頼りに、山の奥へ奥へと20分程進むと、知る人ぞ知る隠れホテル、コテージ風の一軒の二階建て宿。各自持参の夕食作り、洗濯や整理し相棒さんはビールやワインで楽しい一時過ごした。でもこの夜はどしゃ降りの雨、強風で樹木が激しい音をたてていた。朝方には静かになり鳥の声で起こされる。ホテルの庭には枯枝が沢山落ちている。見たことのない変な鳥達も雨あがりに散歩している。おいしい朝食も付いていてよきホテルでした(左上の写真=ケシの花畑、右上の写真=ハイウェイの両サイドの風景)。

oceania09_6
 私たちはクレイドル山地のインフォメーションセンターで国立公園のビジターパスや多くの情報を求めたが、時々雨がみぞれになったり晴れたり、天気が不安定なので、せめて真ん前のダブ湖を一周と思ったが、若者は濡れながら元気よくトレックに、でも老人は勇気がない。湖の透きとおる水の美しさ、向こうに揺り篭の形をしたクレイドル山、ここは世界自然遺産になっている素晴らしい処。小さな木々の間にカンガルーの小型のワラビーが時々顔を出す。待っていても小雨は止みそうにないので、今晩はメルボルンで予約して来た人気の豪華リゾートのロッジが楽しみなので、早目に入室可能らしい。喜び勇んで入室する。貧え旅なのにこんなに立派なロッジに泊まってもよいのかな。初めての最後かも知れない、充分に楽しみましょう。山あり川あり池ありの広大な敷地の中に、山小屋風のロッジが点々と立っている。どこまで続いているかわからない位広い。 今日は休息日とし明日の登山に備えてゆっくりしよう。本を読んだり音楽を聴いたり、夫々の過ごし方がある。窓の前の池に大きな水鳥やワラビーがやって来ている。自然態で暮らすワラビーは自由があり、人も怖れず悠然としている。ロッジの建物群の中には店もあり土産物屋さんありで不自由はしない。ホテルのロビーにリンゴが沢山、誰でもいくつでも食べて良いらしい。早速いただいてみるとサクッと歯応えあり、甘味もしっかり、この島はリンゴの形をした島で、主なるフルーツはリンゴとブドウであるとか。早目に眠って早く起きましょう(上の写真=クレイドル山)。

ブッシュウォーキング
oceania09_7oceania09_8
 早朝から冷え込んで来ている。中々予約のとれないこのロッジ、売りもののバイキング朝食は、やはり豪華版、嬉しくなって何度もおかわりをする。人々は食べ溜めができたらよいのにな、欲張りして昼食分もしっかりと戴いた。リンゴのデザート分もリックに入れる。ここで初めて日本人のツアーのお客さんに会う。どうしていつもは静かな人達も、ツアーで多勢になるとあのように賑やかになるのかしら、日本人は煩わしいと思われているに違いない。
 寒いのは天気になる前触れと云う。さあ今朝はオーバンランドトラックからマリオン展望台までの健脚コース向きを選ぶ。 ロニークリーク駐車場に車をパーキング、少しのアップダウン。足元に木製のしっかりした歩道あり、その上に金網のネットがすべり止めも張ってあり、親切な歩道に感嘆する。緑の丘が続く、タスマニア独特のパンダニ(ヒース科植物)がそこら中に植えている。沢山の動物達の落し物がある。夜行性の彼等は、日中はどこに居るのかな。ワラビーにはお目にかかったが、もっと他の動物を捜すが中々そうはいかない。冷温雨林の森の中には小さな池あり、小川あり気持のよいトレッキング。名も知らぬ木々や草花が今は盛りに咲き、鼻歌も出て来そう。クレーター湖からの眺めも静まりかえった太古の風景、対岸の長い糸のような滝も、昨日の雨で勢いがよい。静かに流れる小川は、原生林のタンニンのエキスから流れ出しているらしい薄茶色の流れを不思議に思う。ウォンバット・ピーク(1100m)からの展望、確かに揺り篭の形をしたクレイドル山、ダブ湖の眺めはウーンと唸る声も発しそう。そこから鎖場もあり少々急なルート、マリオン展望台(1223m)からは壮大な景観が望める。四つの湖、特にダブ湖にかかる光の陰影、その向こうには幾重にものなだらかな稜線、一方では粗粒玄式岩の台地が氷河に削られた跡が克明に在る山容の独特な姿は、会話もなく黙って眺めるだけの一時でした。このクレイドル山を最初一見した折に、頂上に雪を頂いているのかと思ったほど玄武岩とは白き輝きでした。日本の山岳と比較にならない程手厚く保護されつくした山歩きでした。タスマニアの大自然の世界遺産の一つで主たる観光資源、このままずっと守って欲しい。
 私たちはタスマニアの西海岸に向かう。ローズベリーからジーハン、森の中を走る。今回はバスや列車との時間とか何も考えなくとも、路面地図だけを見てドライバーさんが賢明な判断をして下さるが、とても楽なことです。でもこの島に来て一番悲しいことは道路に事故死した小動物を見ることです。後進国では捨てられたり迷ったりしている牛、羊、ヤギ等食べ物を捜し放浪しているのを見ますが、ここは文明国だけあり、その姿は見かけませんが、小動物だけでなくかなり大きなカンガルー、羊も見ました。その数は相当なものです。道路が立派に整備されている所以から、スピードをあげて走行しているか理由は分かりませんが、相手が夜行性であることもあるでしょうか。道路の行政公団は何をしているのか、観光は主なる財源であるなら、早く死体をかたづけて欲しい。動物好き人間は心の中で泣いています(左上の写真=ウオンバット-ピークからの眺め、右上の写真=ダブ湖からクレイドル山)。

ゴードン川クルーズ
 アクセスが不便なところなので観光には遅れているらしい。だからこそ魅力ありのところ。私たちは西海岸のメインのゴードン川クルーズの為にストローンに泊まる。時間の余裕があったので、ネイチャーウォークを兼ねてピープルズ・パークに散歩に行く。原生林の中を薄暗き森の突きあたりに、優雅な段々となった滝があった。スーパーに魚貝類がさぞかしありだろうと期待して行くがない。オージービーフは沢山ある。相棒さん達は好んでオージービーフの中間がレアーの料理していただいているが、自分の好みではない。日本の食べ物程、四季の旬のもののおいしさにこだわりがあり、外国では食べ物に興味がないことが、自分のワガママということも分かっている。でも時には作り方のヒントを戴くことはあります。次の日の朝8時に集合し、マックォーリ湾に流れ込むゴードン川周辺の冷温帯雨林の繁る独特な樹林帯の観光。林業も鉱山もこの天然の良港より運び出されたのでしょう。今はハイウェイに御株を取られてしまった。ヒューオンパインの茂る原生林からの地質の作り出す川の色はゴールデンではなく、ブラックコーヒ色のまったりと油を流したような大きな河。大型の遊覧船はゆっくり溯っていく。鏡のように森林の様子を逆に映してくれる。名も知らない木樹の花、鳥が静かに憩う。いろんな肌をした観光客も甲板に出たり、アナウンスに耳をかたむけたりしているが、オーストラリア英語はオールドイングリッシュ、早口で分からない。英語力のなさもありだが、聞き取れないことは弱ったこと。途中樹齢1000年とかの雨林帯の中も散歩させてくれる上陸地もあり、ゆっくり時間をかけての観光。すばらしいバイキングの昼食も付いている。パンフレットにあったドルフィンの泳ぎはなしだったが、史上最悪の流刑島とかのセーラ島に上陸し、二人のガイドが待っていて、この刑務所から脱走すれば英雄であったという話や施設の残骸の説明等、おもしろおかしくストーリーを作っている。ヒューオンパインが茂る太古からの原生林の密やかな囁きの聞こえるクルーズでした。
oceania09_9oceania09_10
 ストローンからホーバートを目指すが、どうも時間的に遅くなりそうで、ドライバーさんもお疲れでしょう。途中のハミルトンでB・Bでも捜そうということになり、何軒か目でやっと古物商の経営者の小母さんのメルヘンチックなB・Bになる。小母さん商売上手、多角経営している。泊まりを決定すればすぐ料金を払ってと。私たちは領収書を要求した、それと交換しましょう。少し疑った宿はとても居心地良さそう。前人者3人は韓国の若い女性達、ワーホリでサクランボ摘みの仕事をしているらしい。近代的な洗濯機はドライヤーまで付いて、私たちはどっさり洗濯できた。台所の設備もばっちりで各自好みのもので済ます。年寄り4人組のお邪魔虫も清潔な宿に大満足でした。次の早朝には彼女達は仕事着に着替えて、5時30分には裏口より、サクランボ摘みにそっと出かけていました。
 私はまだ皆が寝込んでいる間に近くを散歩します。近くは牧場ばかり樹木の下で羊や牛達が寝ている。大きな敷地の牧草地に馬が1匹だけ、寂しげな馬の大きな目が何かを訴えている。犬達もつながれている、放してあげたいナ。涼しい風がB・Bの付近の花畑の花を揺らしている。清潔で気持ちよいB・Bの台所の後片付け、ベットやトイレバスの整理整頓を自分なりにして感謝の印、さようならをする。
 さあ、今日はタスマニアの州都であるホバートに行く。近づくにつれてオーストラリアの鳥である黒鳥が湿地に群がっている。白鳥より少し小振り、川が黒くなるほど沢山いる。今頃道路地図で気付いたことはルートAが大きな道(線が3つ位)ルートBが2車線、ルートCが1車線、真中に車線のないのが私道らしい。誤った道につきあたったりしてやっと私にも分かった。
 ホバートはやはり州都だけあり都会、植民地時代からのイギリスの歴史ある風情ありの都市、大自然の中をくぐり抜けて来た私たちには場違いを感ずる。ある日本人経営者のいる旅行社にEメールで問い合わせもしていたし、今晩のホテルでも紹介してもらいたくてやっと捜して寄って見る。一目で私たちはこれはお金にならないと見縊られたのか、けんもほろろ失礼な態度。多分こんな愛想なしの旅行社潰れるヨ。時間かけて捜し損をした。土曜日にサマランカプレイスで大きな市場があるらしいが、残念今日は土曜日でない。この町の眺望を楽しむにはネルソン山に車でドライブする。スーパーで買ったサンドイッチとコーヒで山頂からの市街、港、河口を見下り昼食とする(左上の写真=ハミルトン宿の近くの牧場のお馬さんかわいい眼、右上の写真=散歩から帰宅の牛達)。

oceania09_11
 マウントフィルド国立公園に行く、ここもメインは滝のようで、人を怖れないワラビーが沢山居てあの黒い純粋な瞳はじっとこちらを見詰める。国立公園であるので森林の大木が倒れても手を加えず、他の木々の栄養分となるように自然の営みも学ばさせてくれる。シダ類が多く整備された散歩道、国立公園として原生林を保護するとはこういうことだとサンプルを見る思いがする(上の写真=マウントフイルドの滝)。

oceania09_12oceania09_13
 私たちはタスマニアデビルを見ていない、そこら中に居るのかと思っていたけど、とんでもない。そんなことはあり得ない。保護パークに向う。ポートアーサーの近くにあり、丁度餌付けの時間帯であったので、何の動物なのか毛の付いたままの細切れを、骨のままあのするどい赤い口でガリガリと食べる。猫を少し大きくした位の大きさ。ここには珍しい鳥や小動物がケガや病気の際保護されて、直ったら野生に戻すという。大きな柵の中でワラビー、カンガルー、コアラ、ガチョウ等が放し飼いされていて触ることも出来る。タスマニアデビルは段々数が減って来ていて、こうして保護しなければ生き残れない現状らしい(左上の写真=カンガルーとワラビー、右上の写真=タスマニアンデビル)。

ホートアーサー流刑場跡
oceania09_14
 ビジターセンターに情報をと訪ねると、そこが私たちが行こうとする流刑場であった。正面玄関からは想像もつかない。少々高めだなと思う入場料を支払って、広大な敷地の中に、一つの都市のように建築物が点在している。ここの建物は全て受刑者により建てられた。タスマンアボリジニの原住民への圧政や、囚人への刑罰や教育、タスマニアの負の遺産とか。でもここを訪れれば光り輝く別世界を感じる。歴史の流れの中の一負としてのあり方で、今はここが大切な観光地となっているのはおもしろいことだ。船が20分度に出航し、タスマン海よりも島々の歴史も説明してくれるが、又中々英語が理解できない。日中の暑さ、日差しは強烈である。UVカットも等閑では、先が思いやられる。顔中がスポットだらけになりそう。宿でも相棒さん達はワインが美味しいらしい。オージービーフが酒のつまみかな(上の写真=ポートアーサー流刑場)。

東海岸のフレシネ国立公園
oceania09_15
 ホバートからリッチモンドに行く。ここは穀倉地帯の中心地、黄金色の小麦畑が明るい光の中で育っている。野菜、果物畑が丘の向こうまで続いている。コールリバーという黒い色をした川があり、名前からしてここには石炭が掘られたところでもあり、タスマニアで一番古い石橋があった。ここにも刑務所があるそうだが、もう充分見物済み。
 休憩した折にとってもよい香がして来る。鼻がピクピクして、これはイースト菌の匂い。近くにベーカリーがあるはず。焼き立てのおいしそうなものを各自選んでいただく。スワンシーからコールスベイに向かう。途中ラズベリーファームに寄ってみるが即席のジュースとアイスクリーム、ジャムだけだった。
 海岸沿いに小さな町が点在して美しい景色を見せてくれる。コールスベイに向かう。前にデーン赤味を帯びた火山岩の山脈が居座る、フレシネ国立公園は野生動物と野鳥の宝庫とか、そしてすばらしい景色にもお目にかかれるか、期待してやって来た。目的はワイングラスベイまでにトレックすること。ルートは沢山ありだが、最も一般的なものを選んで登り始めた。しっかりと歩道はありで迷うようなことはない。多くの観光客、老いも若きも、ノロノロと登る。日差しが強いが展望台までは一気に登れる気安さ、ハネムーンベイとプロミスベイ2つの湾が望める。段々と大きな岩があり、アモス山を下りる、ここからは蚊が多く、身体をパチパチと叩きながら、ワイングラス湾にたどり着く、一山越えてこの目前に息を飲むほどの美しさとはこのこと。真っ白の砂浜に何ともいえないトルコブルーの鮮やかな海、濃淡その向こうには赤味の山脈、白い砂浜のレース状の波の寄せ返し、暑さと蚊に負けずにやって来た価値は十分にある。一生忘れられないこの景色を、身体いっぱいに浸り心の中の余韻を味わいながら、元の場所まで又山を越えてバックする。2時間30分ほどのトレッキングでした。ワラビー2匹ほどお目にかかっただけで動物はこれだけでした。
 海岸沿いの美しい風景を横目で追いながら、捕鯨港としてビシェノーに泊まる。“銀の砂の宿”というリゾート地の粋な名前の宿、海岸の前だからカモメが沢山ベランダに寄って来る、足と嘴が赤い、ユリカモメかな。何か互いにおしゃべり、じゃれ合ったり時々喧嘩もしたり、人間社会の一端を見る思い、何かの音で群れがサーと飛んで去りいく様子は優美な一の舞いにも似て、いつまで見ていてもきりがない程。波の音は悠々の彼方からの響きであろうか。永遠とはこういう音をいうのではないか。自分を省みる時を戴いた。ここにはレジャー客が泊まりに沢山来ているようだ。私たちは洗濯物を干したり、ささやかな夕飯の用意、時々夕日を眺めたり現実はこんなもの。風と波の音だけのやさしい子守唄にて、心地よい眠りを与えてもらい気分のよい宿でした。浜の散歩で多くの兔と出会う。茶系統とグレーの兔、近づくとサーと逃げるのは野生兎でしょう(上の写真=ワイングラスベイ)。
oceania09_16oceania09_17
oceania09_18
 次の朝、宿を後にして長年の浸食により海岸の岩が大きなクレータが出来て、波がその間から吹き出て来る間欠泉(ブローホール)のような所へ行く、日本でも大小様々名所としてある。そして私たちはイーストコースト・ネイチャーワールドの自然動物園に足を運ぶ。カンガルーやワラビーが放し飼いになっていて、赤ちゃんのタスマニアデビル達が成長に合わせての、餌やりの工夫、運動不足にならぬ様餌を高い処や隠したりしたりしていずれ野生に帰すことを目標としている。この可愛い小熊さんのような動物がデビルなのがしら、あの骨までもガリガリと食べ様子からか、不思議だな。コアラはユーカリの高い木で眠っていて、動作は暖慢、タスマニア独特のヘビも沢山いた。大きな敷地に池あり自然の中で自由に多くの鳥が行き来している、こんな動物園もありかと感心した(左上の写真=ブローフォール、右上の写真=タスマニア野生猫、下の写真=コアラ)。

 タスマニア島といっても本当に広いものだ。隣町に行くにも長時間のドライブ、ドライバーさん御1人ではさぞお疲れのことと思うが、代わってあげることも出来ずに、御苦労様。ドライバーさんの後部座席で、おいしいネを連発していただいているのはサクランボ。日本産のものとは少し違うがアメリカンチェリーとも違う甘い味。途中でチェリーの農園で、今朝摘んだもの2kg箱入りが(1000円位)を洗って冷やして下さっている。今晩のデザートにと思いながらも、おばちゃん、小母ちゃん三人はよく食べること。今晩も気持ちのあっさりした奥さんの案内でジョージタウンの労働者団のキャビンに泊まることになった。又新たな経験ができる。観光客用ではなく派遣社員用?のキャビンが空いている時は、一般に貸しているようです。台所、トイレ、風呂、4人がしっかり眠れるベットありで、私たちには好都合。早朝は仕事服の仕事をする人達が次々とお勤めに出かけていくのを見る。
oceania09_19oceania09_20
 いよいよタスマニア島ともお別れが近づき、バス海峡に注ぐタマリバーの両サイドのタマーバレーを見物し、ここぞと思う処を味わうドライブをしようということになった。タマーバレーと云うだけあって、次々と果樹園が多く肥沃な台地。ブドウ園はまだ収穫には早いのかな?クローズしているところばかり。ラベンダー畑の1つに休息も兼ねて入ってみると確かにあの紫色のラベンダーの花は何エーカーか咲いている。お店の方は“日本のツアーの人々がよく来られます、日本にラベンダーはないのですか”私はお茶(有料)を戴く人には庭は無料で見せてくれると思っていたのに、料金を別途必要らしいので、北海道にはお宅の規模よりもっと広いのが沢山ありますと答えた。そしたらその店の方は“このラベンダー畑は一部であって他の種類のラベンダーが他所にある”とか。香料として昔からの馴染みありで、花を乾燥さして小さな袋に入れて枕の中に入れて休むと安眠を誘うとか。若い頃の夢の話です。
 道路沿いの住宅地に本当によくFor Saleの看板あり、牧場も牛がまだ飼われているのに売りに出ているとは、この牛、羊達はどうなるのでしょう。ここの住宅には花壇があり花が美しく咲いている。日本にもよく初夏に咲くムラサキクンシラン(アガパンサス)の紫と白の花が沢山見られる。大振りのこの花はこの島に良く似合う花。平屋で塀なしの住宅は広大な土地ありのオーストラリアだな。
 ビューティポイントと名前に釣られてその町に行ってみるがさしたるものもなし。デロラインからシェファーの壁画を見に行く。店や住宅の壁のどこにでも、現在風の画を落書きのように大きな画が描かれている。車が沢山駐車しているので、チーズ工場を見学に、ガラス越しの行程見学、味見が沢山あってどれもこってり味、さらっとしたチーズはないのでしょうか。
 今晩の宿はファームステイとなった。牧場主の家で一軒屋をまるごと貸してくれる。4人で1万円程度の安さ、広さから冷暖房設備、全て云うことなし。スーパーで買い物し夕食を作り、のんびりゆったりの気楽なファームステイ。オージービーフはどうしても好きになれないので、魚貝類のバターいために日本茶、こうしてお互いに好きに出来るのも、個人の自由旅故の良さがある。丘の上の牧場宿の休み心地は、雨が降ったのも知らずに眠ったらしい。早朝は雨に濡れた牧草地が遠くまで続くキラキラ光る海のよう。近所は牧場だらけ、裏庭に魚貝類の残りを置いていたがすっかり跡形もない。どんな動物が食べたのかな。
 タスマニア島に旅して毎日早寝早起きの、おりこうさんスタイル生活しているので、身体の調子は順調。国道に戻ってロンセストンへ向かう。ここには日本車がとても多く、だいたい日本車がすべて、ハイウェイに時々ブタの牧場があり、何となく不釣合いで笑いをさそう。昨夜の雨で水やりは充分なのに、自動的だからか、スプリンクラーが水をまいている。これこそもったいない無駄なこと〔左上の写真=ラベンダー畑、右上の写真=ムラサキクンシラン(アガパンサス)〕。
oceania09_21
 ロンセストンはメルボルンに帰る前にと予定していた通り、この町の見どころはカタラクト渓谷(cataract Gorge)駐車場からレストランまでの下りに、クジャクやワラビーが沢山いる。リフトの乗り場を示す看板がほんの小さいので、注意しなければ見落とすところだった。サウス・エスク川の両サイドの渓谷を、二人乗りのリフトに乗って見物、トレッキングコースもあり、歩きたいな足がムズムズして来る。汗して歩きたいものだ。川に沿って人工的にプールもあり、少々寒いのに泳いでいる人達もいる。
 私たちは都市には興味がない、最後に選択したのが、マクラバー鍾乳洞にしたが、場所が分かり難く、反対を走ったりしたが、何とか到着した。大規模なものでガイドが付いてしっかり案内してくれるが、洞窟の内部が真っ暗く、とっても寒く、ライトがなしなので、前の人とくっついて歩かなければ迷子になる。暗い中の土ボタルだけは見ごたえのある鍾乳洞でした。さあタスマニアとお別れしてメルボルンに帰ろう。又あの暑さの中にと思うと気が重い。メルボルンの最大のグレート・オーシャン・ロードのツアーに入ったり、市内を観光して帰国しました。タスマニア島の旅はレンタカーのお陰で何の苦労もなく楽な旅で余りにもあっけないので、少々もの足りない思いがしました。
 帰国してすぐにあのビクトリア州の大火事の様子がニュースで流れている。何年の続く旱魃とユーカリの葉が油分を沢山含んでいるとか、原因がまだはっきりしていないそうだが、大変痛ましい大災害、何時もこの世でいったい何が起こるか分からない今日、平凡で慎ましく生活していく日々あることを、亡くなった友の分まで感謝して、身の丈に応じた何かのお返しの方法を選んで、これからも生きていきたい。あともう少し旅が続けられることを祈ります(上の写真=カラクト渓谷)。
space

space
space

space
space
「私の空間」へ戻る
space
space
space
contents
space
to_top
space