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| ミズナラ 芦生由良川上谷 由良川源流の上谷、何度この谷を歩いただろうか。沈み込むモノトーンの雪の白、淡い軽やかなグリーン、深く落ち着いた緑の中、そして鮮やかな色彩から一転して静まる落ち葉の中、静寂の中にある自然は、感じる人にだけ美しい音色を奏で、自分が感じた音だけが森に響き渡る。その中で最も荘厳な音を響かせているのが、このミズナラの巨樹ではないだろうか。原生の木々に包み込まれた上谷の穏やかな流れの横に、ずしりと根を張り、太い幹をねじるように立ち上げ、大きく枝を広げている。この姿が人の心に落ち着きを与える。でもこのミズナラからは、癒しなどという軽々しい言葉はどこからも湧いてこない。 |
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