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撮影=草川啓三 |
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撮影=田代妙子 |
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県境稜線に出たとたん、真っ白にすっきり伸びる雪稜と大きな眺望広がった。続いて上がってきた田代さんからは、いつものごとくヒュー、ヒューという歓声を上がる。目の前には天増川をはさんで、大日、三重岳、武奈ヶ岳の山稜が向かい合い、白くもやが沈む上に比良のツルベと武奈が浮かんでいた。
前夜、登山口の駐車場に着きテントを張って夜を過ごしたが、付近の雪の少なさを心配していた。登山道を少し登ったところで左の尾根へと取り付いてみたが、やはりヤブがうるさかった。しかし登るにつれ雪も増え、再び登山道と合流する頃は快適な雪の尾根となり一安心。堅かった雪にも新雪がのってくるようになった。そして県境尾根に出たところで誰のトレースもない真っ白な雪稜が広がった。
稜線は頂上からゆるやかな起伏を繰り返し気持ちよく伸びている。快晴の空と、思った以上の風景を目の当たりにし、気持ちの高ぶりを抑えるようにして頂上に向かった。ここからは標高差100mほどの登りだけ、雪稜から広い頂上直下の大斜面に出ると、もう滑ることだけを頭に描いていた。
頂上では軽く休憩しただけで早速大斜面に飛び出した。天気がいいので雪は少し重いが言うことなし。ワカンで登ってくる人を横目に、自由自在に描くシュプールは何とも爽快。一気に倉見への登山道分岐まで滑って昼にした。
午後は念願だった長く白い尾根にスキーを滑らせた。この長い尾根も雪が多くただただ快適な滑り。小さなアップダウンはあるが、あっという間に分岐となる635mピークに着いた。ここから倉見峠へと続く尾根に乗るつもりだったのが、県境尾根へと入ってしまった。しかし、もう下りやすいところを滑るだけ。どこから下ろうかと迷った末に下りた尾根には、偶然にも昔のジグザグ道が残され、ヤブに苦しむことなく新道への林道へと出られた。
雪の少ないこの山では、最高の天気とベストのコンディション、そしてルートの幸運に恵まれ、素晴らしい一日となった。 (草川 記)
・日 程=1月28日(土・夜)〜1月29日(日)
・参加者=田代妙子・荒川聖一・草川啓三
・コース=倉見・登山口(7:50)〜三十三間山(11:10)〜662.5m〜635m〜新道(16:00) |
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